病院・介護施設に“光”を取り戻す──光庭・トップライトが生む心理効果と業務効率の向上
病院や介護施設の環境を整える上で、「光」は非常に重要な要素です。自然光は単なる明るさを確保するためのものではなく、患者・入居者の心理的な安定やスタッフの働きやすさ向上に寄与するとされており、近年は建築計画の中心として扱われることが増えています。
都志デザインが手がけてきた医療・介護施設でも、光庭(ライトコート)やトップライトを効果的に活用した事例が複数あります。
本記事では、自然光を活かした設計がどのように心理・行動・安全・運営の面でプラスに働くのか、わかりやすく解説します。
1.なぜ医療・介護施設に“自然光”が求められるのか
自然光が人の心理や身体に与える影響については、多くの研究で肯定的な結果が示唆されています。特に医療・介護施設のような「長時間滞在する環境」では、その影響がより強く現れやすいと考えられています。
・患者・入居者の心理面への影響
自然光のある空間は、不安や緊張を和らげる効果が示唆されています。

都市デザインが設計を手掛けたとある病院では、ロビーが大きな開口部を持つ明るい空間として整備されているので、来院者に安心感を与えることができます。
また、高齢者においては自然光が生活リズムの調整に役立つとされ、睡眠改善や昼夜逆転の予防に寄与する可能性が示されています。
・職員に与える好影響
自然光が取り込まれた明るい空間は、視認性が確保されやすく、適切にコントロールされている場合はスタッフの疲労感の軽減やストレス低下につながると報告されることがあります。医療現場では、精神的負荷を少しでも減らす環境づくりが求められるため、光の役割は小さくありません。
・照明コスト削減・環境配慮
自然光の導入により、日中の照明使用量を抑えられる可能性があります。また、省エネ設計として評価されやすく、環境配慮型の病院・介護施設の取り組みとしても有効です。
2.光庭(ライトコート)が生む開放感と居心地
光庭は、外部に面する窓が十分に配置できない状況でも、建物内部に自然光を取り込むことができる優れた設計手法です。
・“内側から採光する”というメリット
都市部の病院・介護施設では、隣地との距離やプライバシー配慮のため、窓が制限されることがあります。その場合でも光庭を中心に配置することで、病室・廊下・リビングなど複数の空間へ自然光を届けることが可能になります。これにより、空間の閉塞感が軽減され、利用者・スタッフ双方にとって快適な動線につながっています。
・光庭がもたらす心理・行動面の効果
-自然な明るさが圧迫感を減らし、落ち着いた雰囲気を生み出す
-視線の抜けをつくり、方向感覚が保ちやすくなる
-明るい廊下は安全性の確保にも役立つ
-スタッフの巡回・確認がしやすい
こうした効果が複合的に働き、施設全体の快適性向上に寄与すると考えられています。
3.トップライトによる採光メリット
トップライト(天窓)は、外部からの視線を気にせず自然光を採り入れられる採光方法として、医療・介護施設との相性が良い手法です。
・都市デザインが手掛けたトップライト事例
リビングにトップライトを採用することで、日中も自然光が差し込む明るい空間がつくられています。床暖房と組み合わせることで、光と温熱の両面から快適性を高める工夫がされています。

・プライバシーと採光の両立
都市部の施設の場合、隣地建物との距離が近いことも多く、通常の窓では視線が気になるケースがあります。トップライトは水平面から光を取り入れるため、外部からの視線を受けにくい構造になっており、プライバシー配慮と採光を両立しやすい点が大きなメリットです。
4.自然光を最大化するための設計上の注意点
・日射熱への配慮
南向きの採光は明るい一方、夏場の過熱や冬場の熱損失に注意が必要です。空調計画と組み合わせることで、快適性を保ちながら採光メリットを活かすことができます。
・眩しさの調整
庇、ルーバー、ハイサッシ、乳白ガラス、Low-E ガラスなどを活用し、光を適切にコントロールすることが重要です。強い光が直接入る環境はかえって利用者の負担となるため、設計段階から計画が必要です。
・維持管理への配慮
トップライトは定期的な点検や清掃が必要です。雨仕舞いの計画やメンテナンス動線を考慮することで、長期的な維持管理コストを抑えられます。
・“暗い廊下問題”を解決する位置計画
既存施設では廊下が暗くなりがちですが、光庭や吹き抜けを効果的に配置することで、廊下空間の明るさや安全性を向上できます。診察エリアなど、利用頻度が高く長い滞在が求められる場所は特に重要です。
5.自然光導入がもたらす運営側のメリット
・患者・入居者の満足度向上
明るい空間は利用者に安心感を与え、施設全体の印象を高める効果が期待できます。S病院が「明るく快適な病院」として評価されている背景にも、自然光を取り込んだ空間づくりが一因と考えられます。
・高齢者の活動量向上(QOL 向上)
回遊性のある廊下やトップライトで明るいリビングがある環境は、入居者が自然に歩行訓練に取り組みやすい動線を生み出します。明るい空間は滞在時間も伸ばし、生活の質向上に寄与する可能性があります。
・スタッフの離職抑制にもつながる環境整備
自然光のある職場は、閉塞感を減らし、スタッフが働きやすいと感じる環境づくりに役立つとされています。医療・介護現場では特に「働きやすい環境」が離職防止につながるケースが多いため、光は重要な設計要素のひとつです。
・施設の“アメニティ価値”向上
光庭・トップライト・屋上庭園などの自然光を活かした空間は、地域から選ばれる病院・施設づくりにおける大きな魅力になります。利用者・家族にとっても、明るく開放的な施設は安心して利用しやすい環境といえます。
6.まとめ
自然光の導入は、医療・介護施設における心理的・機能的・運営的なメリットを幅広くもたらす“環境投資”と言えます。
-利用者の安心感向上
-スタッフの働きやすさ向上
-QOL・活動量の向上
-安全性の確保
-施設のブランド価値向上
これらの要素は、光庭やトップライトを活用した設計によって総合的に実現しやすくなります。都志デザインが手がけてきた事例が示すように、自然光は単なるデザインではなく、施設運営においても大きな価値を持つ視点です。
今後の新築・改修を検討する際には、ぜひ「自然光を最大限活かす設計」を取り入れてみてはいかがでしょうか。
都志デザインでは、病院や介護施設の建設・増築についての無料セミナーを定期的に開催しております。
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