診療効率を最大化する動線計画──患者・スタッフ双方に優しい病院づくり
病院づくりにおける「動線計画」は、単なる建築デザインの話にとどまりません。院内の移動のしやすさは、患者のストレス軽減、スタッフの働きやすさ、そして医療の質にまで大きな影響を与えます。動線がわかりにくいと、患者は迷い、不安を抱え、スタッフは余計な移動で疲弊します。反対に動線が整理された病院は、短い移動で多くの業務が完結し、効率的に診療を回すことができます。
都志デザインの設計事例でも、患者中心の動線、ワンストップ受付、明るく見通しの良い空間などが重視されており、現場に寄り添う動線設計がいかに重要かが示されています。
1.なぜ動線改善が病院にとって重要なのか
動線改善は、病院運営における課題を根本から解決する力を持っています。
①待ち時間の削減
動線が整理されると、受付から診察・検査までの移動がスムーズになり、滞留が減ることで患者の待ち時間が短縮されます。特に外来のピーク時には、この効果が顕著に表れます。
②スタッフの移動時間・作業負荷の軽減
医師や看護師、検査技師は1日の中で何度も院内を行き来します。動線が長ければ長いほど無駄な時間が増え、業務効率が低下します。「短い動線」はスタッフの負担軽減と生産性向上に直結します。
③医療安全(衝突防止・混雑回避)の向上
患者とスタッフ、車椅子とストレッチャーなど、異なる移動主体の動線が交差するとリスクが高まります。動線を分けて整理することで、衝突防止・混雑解消・緊急時対応力の改善につながります。
2.Yクリニックの動線計画ポイント
①受付〜診察ゾーンの明快な流れ
ワンストップカウンターの考え方と同様に、受付から診察室へ迷いなく移動できるよう、直線的で視認性の高い動線を確保します。
②ホールディングベッドの配置による効率化

資料の救急部門のように、検査や処置を待つ患者が一時的に滞在できるホールディングベッドを配置することで、外来前の滞留を抑え、診療の流れをスムーズにします。
③放射線部門・処置室の適切な配置
資料では血管造影室など放射線部門が紹介されていますが、これらを診療の流れを分断しない位置に配置することで、搬送の手間と時間を最小化できます。
3.“短い動線”がもたらす診療効率改善
短い動線は、病院運営に多面的な効果をもたらします。
・スタッフの歩数と疲労が減る
・患者案内が減り、スタッフの負担が軽減
・緊急時の移動が早くなる
・外来の回転効率が上がる
セミナーでも「診察エリアのプランニング」「短い動線」の事例などを紹介しており、都志デザインでは医療現場において短い動線も重要視して設計しています。
4.患者動線・スタッフ動線を分ける設計の考え方
動線が交差すると、混雑・衝突・緊急搬送の妨げになるため、病院設計では動線分離が基本です。
①交差しない動線の重要性
患者とスタッフが同じ廊下を使うと、お互いが動きづらくなり安全性も低下します。特にストレッチャー搬送時は大きな問題となります。
②外来/救急/検査/処置のゾーニング
資料には外来・救急・放射線・手術など主要部門が個別に掲載され、機能ごとに整理された構成となっています。これらをゾーンで分け、用途に応じた動線を設計することで、移動がシンプルになります。
③バックヤード動線の確保
患者と交差させたくない医療物品搬送・スタッフ移動は、裏動線にまとめることで効率化と安全性の両立が可能となります。
5.動線改善で期待できる運営メリット
①スタッフ1人当たりの処理能力が向上
移動の無駄が減れば、同じ時間で対応できる患者数が増え、生産性の向上につながります。
②患者満足度の向上と口コミ増加
迷わない・待たされない・移動の負担が少ない――これらは患者満足度に直結します。「患者中心の医療体制」「明るい病院」が選ばれる病院の条件として挙げられます。
③病院のブランディング向上

「ホテルのような病院」のように、明るく見通しの良い空間・整理された動線は、地域で選ばれる病院づくりに寄与します。
6.動線改善を行う際の注意点
改修を含む動線改善には「段階施工(いながら施工)」が欠かせません。都市デザインのセミナーでも「玉つき改修」などの概念を紹介しており、病院が稼働したまま工事を行う際の配慮が必要であることもお伝えしています。
工事による騒音・振動・動線切替の影響を最小限にしつつ、安全に改修を進めるため、事前の周知や職員との連携が不可欠です。
7.まとめ
病院の動線計画は、運営効率・患者体験・医療安全を底上げする基盤です。
・動線はできるだけ短くする
・患者動線とスタッフ動線は分離する
・明るく見通しのよい空間をつくる
動線の最適化は、患者にもスタッフにも優しい病院づくりを実現し、病院の価値を継続的に高めるための大きな一歩となります。
都志デザインでは、病院や介護施設の建設・増築についての無料セミナーを定期的に開催しております。
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