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病院・介護施設改修で見落とされがちな「音・におい・温熱環境」設計

病院や介護施設の設計・改修においては、動線計画や採光、感染対策といった「目に見える要素」が重視される傾向があります。しかし、実際にその空間で長時間過ごす利用者やスタッフにとっては、「音・におい・温熱環境」といった目に見えない要素が、快適性やストレスに関係する場合があります。

特に医療・介護施設は24時間稼働し、かつ多様な人が同時に利用する特殊な環境です。そのため、日常的に蓄積される環境ストレスが、業務効率や満足度に影響を及ぼすことも考えられます。

本記事では、病院・介護施設の改修において見落とされがちな「非視覚要素」に着目し、設計の観点からどのように考えるべきかを整理します。

 

 

 

1. 医療・介護施設では「環境ストレス」が蓄積しやすい

医療・介護施設は、一般的なオフィスや住宅とは異なり、24時間稼働し続ける空間です。患者や入居者は長時間滞在し、スタッフも交代制で常に稼働しているため、環境の影響を受けやすいという特徴があります。

例えば、機械音やナースコールが常に鳴る環境、温度が場所によって大きく異なる空間、においがこもりやすいエリアなどが重なると、知らないうちにストレスが蓄積されることがあります。こうした要素はひとつひとつは小さくても、長時間の滞在によって影響が大きくなる点が特徴です。

そのため、改修や設計を検討する際には、「見た目の改善」だけでなく、「体感としての快適性」を意識することが重要と考えられます。

 

 

 

2. 見落とされやすい「音環境」の問題

病院や介護施設には、多くの音が存在します。医療機器の作動音、ナースコール、台車の走行音、スタッフの足音、空調設備の稼働音など、日常的に様々な音が発生しています。

特に問題となりやすいのが「反響音」です。廊下や共用部で音が反射しやすい仕上げになっている場合、小さな音でも増幅され、施設全体の騒がしさにつながることがあります。

こうした音環境に対しては、吸音材を用いた天井や壁の仕上げ、個室化による音の遮断、機械室の配置計画など、設計段階での工夫が有効とされることがあります。また、床材の選定によって台車の走行音を軽減するなど、細かな配慮の積み重ねも重要です。

音環境の改善は、利用者の安眠やスタッフの集中力にも関係するため、検討すべき項目の一つです。

 

 

 

3. におい対策は換気設計だけでは不十分な場合もある

医療・介護施設では、食事、排泄、医療処置、消毒などに伴い、様々なにおいが発生します。これらのにおいは一時的なものだけでなく、空間に滞留することで不快感につながる場合があります。

一般的には換気設備の強化が対策として挙げられますが、それだけでは十分でないケースもあります。例えば、空気の流れが適切に設計されていない場合、においが別のエリアへ拡散してしまう、などです。

そのため、におい対策には、空調ゾーニングや排気位置の計画、気流のコントロールといった複合的な設計が求められます。また、汚染源となるエリアと清潔エリアを適切に分離することも重要です。

建築・設備・運用が連携して初めて、におい環境の改善につながる点が、このテーマの難しさの一因とされています。

 

 

 

4. 温熱環境が与える影響

病院や介護施設では、高齢者や体調の不安定な患者が多く利用するため、温度や湿度の影響を受けやすいとされる環境です。一方で、スタッフは業務内容によって体感温度が異なるため、全員にとって最適な環境をつくることは容易ではありません。

例えば、日当たりの良い場所と日陰の場所で温度差が生じたり、空調の吹き出し位置によって局所的な寒暖差が発生したりすることがあります。これらは快適性だけでなく、体調管理にも影響する可能性があります。

設計上の対策としては、空調ゾーニングの細分化、断熱性能の向上、窓配置の工夫、気流のコントロールなどが挙げられます。特に既存施設の改修では、部分的な改善でも体感が大きく変わるケースがあります。

 

 

 

5. 「見えない環境」を改善すると施設の印象が変わる

施設の評価は、見た目の美しさや設備の新しさだけで決まるとは限りません。実際に過ごしたときの「居心地の良さ」や「ストレスの少なさ」が、総合的な印象を左右します。

音が静かで、においが気にならず、温度が快適に保たれている空間は、それだけで安心感や満足感につながることがあります。これは利用者だけでなく、日々働くスタッフにとっても重要な要素と考えられます。

改修の際には、つい目に見える部分に投資が集中しがちですが、「見えない環境」にも目を向け、施設全体の価値向上を図りましょう。

 

 

 

まとめ

病院・介護施設の設計・改修では、動線や採光といった視覚的な要素に注目が集まりやすい一方で、音・におい・温熱環境といった非視覚要素は見落とされがちです。

しかし、これらの要素は、実際にその空間で過ごす人にとって、日々の快適性やストレスに関係する重要な要素とされています。

今後の施設づくりにおいては、「見える設計」だけでなく、「感じる設計」にも目を向けることが求められます。改修のタイミングは、こうした環境を見直す大きな機会とも言えるでしょう。

非視覚要素を含めた総合的な設計を行い、より質の高い医療・介護環境の実を目指しましょう。

 

 

 

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