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「病院らしくない病院」はなぜ選ばれる?|ロビー・カフェ・ギャラリーのアメニティ設計

「病院らしくない病院」という言葉は、現在では肯定的な意味合いで使われることが増えていますが、かつては必ずしも一般的な評価軸ではありませんでした。医療行為の安全性や効率性を最優先とする中で、空間の快適性や滞在環境は二次的に扱われてきた背景があったためです。

しかし近年では、患者や家族が医療機関を選ぶ際の判断材料として、空間の印象や過ごしやすさが重視される傾向が見られるようになっています。

本記事では、ロビー・カフェ・ギャラリーといったアメニティ空間に着目し、「病院らしくない病院」と呼ばれる施設がなぜ評価されているのかを、設計の考え方から整理していきます。

 

 

 

1.「病院らしさ」とは何だったのか

従来の病院建築は、医療行為を安全かつ確実に行うことを主目的として計画されてきました。診察室や病室、検査部門を合理的に配置し、清潔性と機能性を確保することが最優先事項であり、結果として無機質で閉鎖的な印象の空間が多く見られました。こうした環境は、医療従事者にとっては合理的であっても、患者や家族にとっては緊張感を伴う場となりやすかったと考えられます。

一方で、高齢化の進行や慢性疾患患者の増加などにより、病院に滞在する時間が比較的長くなるケースも増えています。そのため、治療行為そのものだけでなく、待ち時間や付き添いの時間をどのような環境で過ごすかが、医療体験全体の印象に影響を与える要素として意識されるようになってきました。こうした背景から、従来型の「病院らしさ」を見直す動きが広がっていると見ることができます。

 

 

 

2.アメニティ設計が持つ役割

病院におけるアメニティ空間は、付加的な要素として捉えられがちですが、近年ではその役割が再評価されています。ロビーやカフェ、ギャラリーといった空間は医療行為を直接行う場ではありませんが、患者や家族が気持ちを落ち着けるための場所としての機能が期待されています。

S国際病院ではロビーや売店、ギャラリー、チャペルといった空間があり病院に訪れる人が医療以外の時間を過ごす場として受け入れられています。

 

 

 

3.S国際病院に見るアメニティ空間の構成

S国際病院では、ロビーが病院の主要な共用空間として計画されています。こうした空間構成は、病院全体の第一印象に大きな影響を与える要素の一つです。

また、売店やコーヒーショップといった施設も設けられており、患者や家族、来院者が利用できる環境が整えられています。

これらは診療の合間や待ち時間に利用されることを想定したものであり、病院内での退屈な滞在時間を変えました。さらに、ギャラリーやチャペルといった空間もあり、多様な利用が想定された共用部計画が行われていることが分かります。

 

 

 

4.アメニティ空間が評価される理由

アメニティ空間が整備された病院は、来院者に対して従来の病院とは異なる印象を与えます。明るく開放的なロビーや、静かに過ごせる共用空間の存在は、病院に対する心理的な距離感を和らげる効果が期待できます。

こうした空間は、患者や家族にとって病院での体験をより穏やかなものにし、その結果として病院全体の印象が良好に受け取られます。

S国際病院は「ホテルのような病院」「病院らしくない病院」として、日本の病院建築に影響を与えたのです。

 

 

 

5.医療スタッフの視点から見たアメニティ

アメニティ空間は、患者や家族だけでなく、医療スタッも通る場です。

働く環境の質が医療サービス全体に影響を与えるという考え方は、近年さまざまな場面で指摘されています。アメニティ空間も、その一要素として位置づけられるのではないでしょうか。

 

 

 

6.アメニティ設計における留意点

アメニティ空間を計画する際には、病院本来の機能とのバランスが重要です。商業的な要素が前面に出過ぎると、医療施設としての性格と乖離するおそれがあります。また、診療動線や安全性、管理体制との整合を図ることも欠かせません。

さらに、維持管理や運営にかかる負担を見据えた計画とすることも求められます。アメニティは規模や内容によって運営コストが異なるため、病院の理念や地域性に合った形で導入することが望ましいです。

 

 

 

7.まとめ

「病院らしくない病院」と評価される施設は、必ずしも見た目の新しさや華やかさを追求しているわけではありません。その背景には、患者や家族、医療スタッフが過ごす環境に配慮しようとする設計思想があります。

ロビー・カフェ・ギャラリーといったアメニティ空間は、医療行為を補完する共用空間として計画され、病院全体の印象や利用体験に影響を与える要素となっています。

S国際病院の事例からは、アメニティ空間を含めた総合的な施設計画が、病院建築の評価に一定の影響を与えてきたことが読み取れます。

今後の病院設計においても、アメニティ空間の在り方は検討すべきテーマの一つであり、医療と空間の関係性を改めて考える視点が求められていると言えるでしょう。

 

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