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介護施設建築で坪単価を抑える設計・発注・工事の工夫とは?

介護施設建設において「コスト削減」は経営に直結する重要課題です。近年は介護人材不足や運営費用の上昇が重なり、建設時点での費用最適化が求められています。

 

特に坪単価は施設整備の効率を測る重要指標であり、設計から工事、運用に至るまで戦略的に抑制する工夫が不可欠です。

 

 

 

  1. 企画・設計段階でのコスト最適化

まず大きな影響を与えるのは床面積の設定です。ユニット型特別養護老人ホームの全国平均は42.7〜47.5㎡/人(福祉医療機構データ)ですが、都志デザインが手掛けた事例の平均は40.8㎡/人です。

適正な面積配分を徹底することで、延床面積に直結する建築費を抑えられます。

 

次に重要なのがシンプルで合理的な設計です。平面形や断面形、階数のバランスを整え、要素をできるだけ小さく、シンプルで使いやすい建物とすることが大切です。

複雑な形状は工事費増の原因となり、逆にシンプルな形態は施工効率が高まり、耐震性の向上にもつながります。

 

構造・工法の選択もコストに直結します。RC造→鉄骨造→木造の順で価格は低下し、柱間隔が合理的なほど施工効率が高まります。また、2室を1室に統合するなど空間活用の工夫によって大幅なコストダウンが可能です。

都志デザインでもこうした手法を組み合わせ、平均坪単価を68万円に抑えた事例があります。

 

設計段階では複数案を比較検討し、コスト・機能・デザインの最適解を見極めることが推奨されます。

 

 

 

  1. 発注戦略によるコスト圧縮

発注方式は建設コストに大きく影響します。特命方式や設計施工方式は高価格になりやすく、一般競争入札方式は低価格となる傾向があります。設計施工方式では追加工事費用が割高になる点にも注意が必要です。

 

さらに、VE(Value Engineering)提案方式やCM(Construction Management)方式を活用することで、発注段階から合理的なコストダウンが可能となります。

 

VE提案を組み込むことで施工業者から代替案を募り、コストを下げつつ機能を確保できます。CM方式では専門家が発注者の立場で調整するため、透明性とコスト抑制を両立できます。さらに、VE提案条項を加えたり、設備や家具を別途発注することも有効な戦略です。

 

 

 

  1. 工事段階でのコスト削減の実践

工事中のコスト管理で重要なのは、変更工事をできるだけ早く処理することです。設計変更や別途発注工事は、着工後に遅れるほどコスト増に直結します。「早ければ早いほど有利」なのです。

 

また、仕様調整においては増減のバランスを保ち、不要な高仕様を避けることが大切です。

さらに、メーカーフリー設計を導入することで約10%のコストダウンも可能となります。

 

これは、特定メーカーに縛られず複数製品から最適なものを選定することで競争原理が働くためです。条件によって効果幅はありますが、実務上大きな効果が期待できます。

 

 

 

  1. ライフサイクルコストを見据えた最適化

短期的な建設コスト削減だけでなく、長期的なランニングコストを抑えることも欠かせません。

 

都志デザインの事例でも、床暖房や空調換気システムなどの合理的な設備設計が導入され、快適性を確保しながら効率化を実現しています。こうした取り組みによって、入居者にとって快適でありつつ運営側にとっても経済的な施設運営が可能になります。

 

単に安価な設備を採用するのではなく、ハイグレードな設備を合理的に選び、低コストで導入する工夫が長期的には有効です。メンテナンスコストを含めたライフサイクル全体での最適化が求められます。

 

 

 

  1. まとめ

介護施設の建設において坪単価を抑えるには、企画から運用まで全工程で意識的に取り組むことが欠かせません。都志デザインの知見を踏まえると、以下のような実践ポイントが導き出せます。

 

  • ・企画段階:床面積を適正化(全国平均42.7〜47.5㎡/人 vs 都志デザイン事例40.8㎡/人)。
  • ・設計段階:平面形や構造をシンプルにし、複数案比較で最適解を見極める。
  • ・発注段階:競争入札やVE・CM方式を活用し、業者を広く募る。
  • ・工事段階:変更工事は早期処理、メーカーフリー設計で10%程度のコスト削減を狙う。
  • ・運用段階:合理的な設備設計によりランニングコストを削減。

 

このように、各段階でチェックリストを持ち、戦略的にコストを意識することで、坪単価を抑えつつ高品質な介護施設を実現できます。経営環境が厳しさを増す中、こうした工夫が施設運営の競争力強化につながるでしょう。

 

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